行動がゆっくりでマイペースな子どもさんに、「早くしなさい」と言ってもなかなか改まることはありません。それどころか、自分では「一生懸命急いでやっているのに怒られた」「自分はだめだ」と自信をなくしてしまうことも考えられます。まずは、ポジティブに考えることが大切です。ネガティブに捉えると本人のいいところが見えなくなってしまいます。本人のペースでやることで、丁寧で確実な作業ができたり、落ち着いて物事に集中できたりといいこともあります。また、本人もできる範囲で少しだけ急いだり、どうしても遅くなったときに「もう少し待ってね」と言えたりすると周りとの関係もうまくいくでしょう。ゆっくりでもできていることを見付けてあげ、その力を伸ばせるといいですね。
子どもは、日々の生活の中でいろいろな経験をしながら成長をしていきます。毎日楽しく学校に行っていても、友達との行き違いや衝突は当然起こります。その中で、人との接し方や自分の感情の制御を学んでいくこともあるようです。トラブルを乗り越えて仲直りをしてさらに親密になることもあります。ただ、思春期に入り友達を求める気持ちが強くなる時期には、周りに合わせて無理をしてストレスをためたり、だれにも相談できずに孤立してしまったりすることも考えられます。子ども同士で解決できないこともあるかもしれません。まずは、子どもさんの気持ちや思いを聞いてあげることを勧めます。時間をかけて子どもさんの言い分をしっかりと受け止めることで気持ちの整理ができ、自分を振り返ったり、自ら解決策を見付けたりすることがあります。必要に応じて学校等に相談して状況を尋ねる場合もあります。また、日頃から子どもと話をしやすい関係づくりも大切です。
話さない状態が長く続く場合は、選択性緘黙症が考えられます。家庭では普通に話すのに、学校など特定の場所では話せなくなる状態を選択性緘黙症(せんたくせいかんもくしょう)と呼びます。幼児のときは家庭にいて気が付かないこともあり、入園や入学をきっかけに気付くことが多いとされています。
言語理解や発語などの言語能力に問題はありませんが、対人関係をつくることに難しさを感じるかもしれません。何よりも本人の不安を受け止め、緊張やストレスを軽減する関わりが大切です。また、話さなくても受け入れてもらえる安心感の中で、自分の存在を認めてもらえるという経験が本人の成長を促します。周りの理解を得て、無理やり話をさせようとせずに安心して自分の気持ちや感情を出せる環境を整えることが必要です。場合によっては児童精神科や心療内科での受診も考えられます。